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2019年2月24日日曜日

ふつうの人が「できる人」になる勉強法

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今回はカリスマ的予備校講師、安河内哲也氏の著書『できる人の勉強法』を紹介します。安河内氏は子供時代から成績優秀だったわけではなく、高校を卒業するまでは人並みの成績だったといいます。しかし浪人時代に勉強法を根本的に変えたことで、約半年間で偏差値が80以上となり、その結果上智大学外国語学部と慶應義塾大学文学部に合格しました。

その後、TOEIC満点、英検1級、国連英検特A級、通訳案内士などの難関資格を多数取得しています。今回は、安河内氏が実践する勉強法の一部を簡単に紹介します。

時間対効果を意識する

勉強で大事なことは時間対効果、つまり一定時間でどれだけたくさんの勉強をしたかということです。寝る間を惜しんで長時間勉強する人もいますが、そんな生活を数ヶ月や1年も続けると、時間対効果が低下して結果を出しにくくなります。大事なことは長時間勉強することよりも、1時間でどれだけたくさん勉強できたかということです。勉強でも仕事でも、できる人ほどダラダラしないよう時間対効果を高めています。

この時間対効果を上げるために必要なことを、本書では大きく5つに分けて説明しています。それは、音読、健康、能率、興味、目標の5つです。

覚えたいことは声に出して読む

誰でも小学生時代に九九を声に出して覚えたり、動詞の活用形を声に出して覚えたりした経験があると思います。このように、覚えたいことは徹底的に声に出して読むと効果的です。脳科学的にも音読は非常に高い学習法であることが証明されています。音読を普段の勉強に取り入れることは、時間対効果を上げるためにも効果的です。

私が教えている東進ハイスクールでは、年1回、河口湖で5日間の合宿を行っています。私もクラスを受け持っていますが、そこでは、授業の途中で簡単な体操をしたあとに大きな声で例文を音読するということを徹底的にやります。
これはビックリするほどの学習効果があり、合宿のあとに生徒から「5日で1カ月分勉強した」といった言葉をよく聞きます。実際、この合宿を境に、成績がグンと上がる生徒も少なくありません。

しっかり睡眠をとる

朝は勉強も仕事もかなりはかどります。そのため、夜はぐっすり寝て翌朝早起きをして、朝ごはんをしっかり食べて勉強をします。夜遅くまで眠いのを我慢して勉強しても頭が働きません。そのような状態でいくら勉強をしても無駄な努力に終わります。眠いときにはきちんと眠ることが鉄則です。

勉強時間を作るために睡眠時間を削るようなことはせずに、テレビを見る時間やその他の無駄な時間を削ることを優先するべきです。

徹底的に無駄を省く

英字新聞などの知らない単語をノートに綺麗に書き写して、何時間も勉強をした気になる人もいます。こんなことをする時間があるなら、その時間で音読をしたり単語を暗記したりするほうが時間対効果は上がります。

ノートにまとめたりバインダーを作ったりする時間は勉強時間ではなく作業時間です。これを何時間やっても勉強した気分になるだけで、本当に勉強したことにはなりません。このように、作業と勉強を混同している人は少なくありません。無駄な時間は徹底的に切り捨てていく必要があります。

楽しく勉強する

勉強がイヤだなと思いながら取り組んでも、脳が拒否反応を示すだけで効率が上がりません。勉強をするときにはなるべく楽しめるようにした方が効果的です。

勉強を楽しむためにまずやるべきことは、自分が興味の持てることを勉強にどんどん取り入れていくことです。たとえば単に英単語やフレーズを覚えるよりも、洋画や海外ドラマ、英訳漫画などの好きな台詞を覚える方が記憶に残りやすくなります。また、音楽(洋楽)でリスニング力が伸びる人もいます。好きなものは何度繰り返しても苦にならないからです。

目標をいつも意識する

何をするときでも「何のために」それをしているのかを考えることが大切です。目的もなくテレビを見続けていても時間対効果が悪くなるだけです。

たとえば電車で眠るときも、「ここで寝ておくことでエネルギーを蓄えることができる」といった具合に、こじつけでも良いので目標を持ちます。このような習慣をつけることで行動の無駄がなくなり時間の無駄遣いが激減します。

毎日つづける

毎日つづけることは大切ですが、いきなりハードルを高く設定しては挫折してしまいます。まずは1日30秒でも良いから毎日つづけようと考えます。これぐらい敷居が低ければ毎日つづけやすくなります。

実際に1日30秒という目標でやってみれば、本当に30秒だけで勉強が終わることはまずありません。気がつけば数十分は取り組んでいるでしょう。大事なことは、ハードルを高く設定せずに30秒でも良いから毎日つづけようと考えることです。

30分集中して少し休む

何時間もぶっ通しで勉強をする人もいますが、人間の集中力はそれほど長時間継続しません。勉強にしろ仕事にしろ、定期的に休憩を入れる方が時間対効果は上がります。

だらだらと長時間勉強するのではなく、30分集中して勉強してから少し休憩というサイクルを回す方が効果的です。ちなみに、本書でも30分勉強して少し休憩という方法を推奨していますが、僕自身も30分単位で勉強するようにしています。30分を1コマとするとちょっとした隙間時間が利用できるし、集中力が切れにくく疲れにくいからです。ただし休憩時間が長くなりすぎないように注意が必要です。

暗記は「しつこさ」が大事

勉強と切っても切れない関係にあるのが「暗記」です。ふつうの人は1回で完ぺきに暗記することは不可能でしょう。何かを暗記するときに必要なことは何度もしつこく繰り返すことです。一度覚えたことも時間が経てば忘れてしまうのがふつうです。忘れたことはまた何度も繰り返して覚えます。

勉強において非常に大切なのは、「訓練と暗記」です。そして、暗記は、結局のところ「反復・繰り返し」。世の中にはいろいろな暗記術の本が出まわっていますが、1回でばっちり暗記できる夢のような方法などは存在しません。とにかく、しつこくやるしかない。

最初は浅く覚えて、繰り返しながら深める

参考書や単語集を覚えたい場合、一度にすべて覚えることは不可能です。そのため、最初は浅く覚えて、繰り返しながら深いレベルで覚えていくと効果的です。たとえば最初は教科書にざっと目を通して流れを確認し、次に太字部分を覚えます。そして次に重要語句をチェック、次に注釈を読むといった具合に、何度も繰り返し読みながら理解を深めていきます。

1冊の参考書を極める

参考書をたくさん買えば自動的に知識が増えるというものではありません。上述の通り、大事なことは何度も繰り返すことです。そのためまずは、1分野につき1冊の参考書を使い、その参考書をマスターできるまで繰り返し勉強します。

また、最初は難しい参考書ではなくやさしい参考書からはじめます。最初のステップで挫折してしまうと次のステップがなくなるため、簡単なものからはじめて少しずつステップアップしていく方が確実に実力がつくからです。

安河内氏が難関資格の通訳案内士を受験した際は、『まんが日本の歴史』、小学生用の『白地図ドリル』、中学生用の公民教科書などを使って勉強をはじめたそうです。

たとえば、私の通訳案内士免許の受験勉強は、その方法で進めました。その当時の試験科目は、英語のほかに日本歴史、日本地理、政治経済、小論文でした。私は職業柄、英語と小論文には自信があったのですが、日本の歴史や地理、政治経済については、知識ゼロの段階からのスタートでした。(中略)小さなステップを重ねながら知識を増やしていき、あとは過去問で徹底的に演習をしました。このような勉強を3カ月くらい集中して行った結果、難関といわれる通訳案内士の資格を取得することができたのです。

プロのすすめる勉強法を素直に受け入れる

今回は、ふつうの人が「できる人」になる勉強法を紹介しました。

学校では勉強は教わっても「勉強法」を教わることはほとんどありません。そのため、人それぞれ勉強法に差がありますし、方法が変われば当然効率も変わります。運良く効率的な方法を発見した人は良いのですが、そうでない人はプロの教えに習うことが大切です。その点において本書は価値ある一冊と言える内容になっています。

これだけ劇的に成績をアップさせることができたのは、思いきって勉強法をガラリと変えたからでしょう。でもそれ以上にプラスだったのは、その道のプロのいうことを、とりあえず素直に取り入れてみたことだったと思います。 勉強にかぎらず、何かを身につけようと思うのなら、こうした姿勢は非常に大事です。なぜなら、その道の達人とは、それなりに正しいメソッドを踏んできた人たちであり、彼らのすすめる方法は決してまちがっていないのですから。